歯科インプラントの基となる技術、精密度、品質のレベルについて

歯科インプラントは欠損した歯の歯根をチタンの人工根に置き換えるもので、オッ
セオインテグレーション(osseo-integration=臨床状況により3〜6ヶ月で
実現する、金属チタンと骨質の一体化)によりチタンのベース上にあらゆる形態の義
歯を形成できます。
この一体化の過程で固定式または可変式の装置を装着して咀嚼機能および見た目の
美しさ(審美的価値)を回復させます。

インプラント治療の手順

1)受診者の方は皆様一人一人がユニークなケースなので、インプラントの施術に
先立って詳細な治療プログラムを作成します。これに必要な診断には当
医院が備えている三次元コーンビームCT装置で映像を撮りその結果に基づき臨床状況を検討します。

2)臨床状況の複雑さによっては、他の専門医、例えば矯正歯科医や口腔外科医や
形成外科医などとの緊密な連携を行い身体全体からみた審美的で機能的な治療を促進します。

3)受診者の方それぞれの健康状態に応じた必要な全ての配慮のもとに施術に際しての麻酔は、ほとんどの場合局部麻酔とします。

4)医療医学的禁忌(術式、検査、投薬,調剤等で当該患者を悪化させるものの適用を禁ずること)のケースは極く稀ですが、当医院は受診者の快適さと正しい最良の治療の為に家庭医や担当医との緊密な連携をとります。

5)治療開始の前に、詳細な治療プログラムと見積書および全ての必要情報を受診者の方に提出して明確に理解頂き自由意志による承認を得ます。

低侵襲手術のコンセプト

治療の成果のレベルを低減することなく治療時間や施術後の処置内容と治療期間を減縮することを目指して、当医院では施術の結果を損なうことなく、身体への侵襲を最小にする努力を続けています。

この為にインプラントと生体組織細胞に関する分野での最新の技術を採用しています。

マイクロサージェリー (顕微手術)

手術の精密度を格段に向上できるので術後の瘢痕(はんこん=きずあと)も小さくす
る事が出来、審美的にもはるかに良い結果が得られます。

極細の縫合糸により糸の張力を最小に抑えることにより炎症や浮腫(はれ)による瘢
痕形成の遅れを防ぎます。

インプラント治療の成功率

50年以上のインプラント臨床経過によって今では永続的な治療法として認められ
るています。
インプラントと骨との一体化にはインプラント材料の表面処理の進歩が大いに寄与
しました。

長期的なインプラント治療の成功率の研究では、例えばレクホルム(Lekholm)と共同
研究者の報告が2006年になされています。
これによれば:
調査期間は20年、インプラントの有効存続率は20年間で91%、つまり或る患者がイ
ンプラント治療を受け、それが20年以上維持できているケースは10中9ケースあるこ
とになります。多くのケースにおいて義歯による補綴術の中ではインプラント治療
が最も信頼性が高いと言えます。
インプラント治療成功の基礎は、高度の技術、施術の精密度、及び採用器材の品質
によって築かれています

骨・歯茎の移植

欠損部の修復には種々の方法がありますが、移植はインプラント施術の前あるいは
インプラント手術の過程で行われます。
特に審美的に重要な箇所では結果に充分に配慮しながら移植を施術します。
顎の骨の厚さが充分でない場合でも移植によりインプラント治療が可能になる場合
が殆どです。

上顎洞床に骨質を移植する場合には、しばしば耳鼻咽喉科医と協同して腔部の状態
を充分に検討した上で実施します。
手術の際は出来る限り骨質や歯茎肉の移植とインプラントを組み合わせて施術し、
手術回数を削減する様に努めます。

即時負荷インプラント

この術式で施術するには、精密な手術仕様に厳密に従った高度の補綴手術が行われ
ることが確認できている必要があり、且つ顎(あご)の骨や歯茎の肉の状態が適正で
あり、施術の日から義歯とその支台を設置できることが条件となります。
この施術はあくまで暫定的な処置ですが、これにより患者の方は即日に発音、咀嚼
、そして何よりも笑顔が取り戻せます。
この術式により心理的に受入れがたい入れ歯の装着を避ける事ができ、治療期間も
大巾に短縮できます。
この術式の可能性を見極めるには最新型三次元画像処理装置による映像を勘案した
補綴学的な検討を行い、これに基づく慎重な診断をいたします。

抜歯/インプラント治療

インプラント周囲の骨質と歯茎肉の状態によっては、抜歯ソケットにインプラント
を埋め込むことは充分可能です。
術後の感染を完全に防ぐための適切な処置、術式により抜歯後のソケットを入念に
掻爬します。
骨質の増殖と共に、結合組織(歯茎)の移植も同時に行う場合もあります。

抜歯直後の即時負荷インプラント

前項に述べた様な抜歯後の処置により、抜歯の後に直ちに咀嚼を始める事も可能に
なります。
この場合、インプラント支台が挿入されて骨質との一体化が進む期間中、骨の中で
の支台は最初から完全に安定した状態が維持され、更に物理的に支持を補助する必
要がないことが肝要です。

ショート・極細 インプラント

手術的な身体への介入を軽減するアプローチとして、”浅い”・”細い”インプラ
ントを使用することによって骨質の増殖を行うことなく歯の機能を回復することを
可能にし、義歯の安定度を長期に亘って保証できます。
通常のインプラントに比べても機能が維持出来る期間が匹敵することが数多くの研
究で実証されています。

インプラント用義歯

インプラント治療で装着する義歯は、完全に数値制御されたプロセスで作られるので、その精密さと堅牢さが格段に向上しています。

従来は型取り・鋳造によって義歯が作られていましたがその精密度は不十分であり、これをCAD/CAM方式による精密技術に置きかえる事によって、インプラント支台に装着される義歯の適合精度を向上しています。これはインプラントの永続性には不可欠の要素です。

インテグレーションの失敗

インプラント治療の成功率が98%であるにも拘らず、稀におこる術後の合併症の殆どがオペ開始後一ヶ月以内に生じています。これは結合組織が骨質とチタンとの間に生成し介在するために一体化が妨げられ、インプラントは固着されずにぐらつき、化膿・疼痛を生じます。   

この場合には局部麻酔の下にこの肉芽組織・感染組織を掻き取り、この部分が治癒
した後で数週間後から数ヶ月後に再びインプラント治療を行います。

インプラント治療成功の基礎は、高度の技術、施術の精密度、及び採用器材の品質
によって築かれています。